VFMの理念と歴史

 

VFM福岡 創設者  泉佳孝

1.理念

現在、いじめによって自殺したり、心が傷つけられたりする子ども達が後を絶ちません。この状況を鑑み、何か一般市民の立場から役に立てることはないかと考えて誕生したのが、文通ボランティア「VFM(ボランティア フレンド メディア)」(=「愛のペンパル活動」)です。この活 動を始めた発想はごく単純なものです。ただ、文通によって、いじめ、不登校、友人関係などで悩んでる子ども達の友達になるというものです。

子どもにとっていじめは教育の問題ではなく、今をどう生きるかという死活問題です。したがって、どんな教育対策を論じるよりも先にやらなければならないことは、現に悩んでる子ども達の相談にのって友達になることであると考えます。子ども達は相談所における専門的アドバイスだけではなく 、何でも気軽に相談できる友達の存在も求めています。そのため会員資 格は原則として18歳から30歳までに限定し、お兄さんお姉さんの立場で友達として文通するように定めています。文通でコミュミケーションを とることによって人と話すのが苦手な子ども達でも気軽に相談できますし、 またどんなに離れている地域の子ども達とも距離を越えて手軽に対話をすることが可能となります。また、悩みを文章化すること自体も子ども達にとってストレス解消や心の整理に有効であると考えます。

 VFMの理念としてもう一つ大切なことは、メディア型ボランティアという方式をとっていることです。メディア型ボランティアという考え方では、ボランティア組織は、ボランティアをする側と受ける側をつなげるコミュニケーションメディアにしかすぎません。つまりボランティア組織はボランティアをするための手段なのです。具体的には、まず登録会員制をとり、その登録会員の中から組織の最小限度の維持・運営に携わる会員を募り、それによって事務局が構成され会を運営していきます。このとき研修は、メディアの使用権を得るための資格条件の役割を果たします。

つまり、忙しい方でも研修に参加するだけで手軽にボランティア活動を行えるのです。ここで重要な点は、メディア型ボランティアにおいては、集団の役割よりも個人の意思が重視され、組織内と活動の両方において個人と個人の平等な関係を可能にするということです。本当の愛とは個別的なものであり、平等で自発的な関係からしか生まれてきません。故に、他者愛を基本とする「愛のペンパル活動」にはメディア型ボランティアが一番相応しい形態であると考えます。


2.歴史

以上のような構想に基づいて、平成7年11月に私の呼びかけに賛同してくれた若者たち10余名と共に会を準備発足させ、「愛のペンパル活動」 が開始されました。発足当初は福岡市の生涯学習支援事業に選定されることを目標としていました。翌年2月には会は正式発足し、同年6月にはめでたく福岡市の生涯学習支援事業に選定され助成金をいただきました。その間、読売新聞、西日本新聞、毎日新聞、シティ情報ふくおか、市政だよりなどに紹介され、またRKBラジオ、NHK福岡放送などでも私たちの活動が番組で取り上げられました。同年8月には少女向けの全国雑誌「MyBirthday」にVFMが紹介され、それ以来全国の子ども達から山のような手紙が寄せられています。予想外の数の多さに私たちは戸惑い、 問題の深刻さを思い知らされました。以後会員の努力によって会員数は倍増し、現在ではVFM福岡に約80名、VFM北九州に30余名、VFM 金沢に8名の会員を抱えています。福岡だけではなくさまざまな地域にお いてVFMの趣旨に賛同して下さる方々によって支部がつくられつつあります。全国から寄せられた子ども達からの手紙も約360通を数えるほどになりました。この活動がさらに広がることによって少しでも多くの子ども達の心に平安が訪れることを願ってやみません。

1997年2月13日作成


注記:改行及び強調は泉@VFM神戸によるものです。

 

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